2011年4月2日土曜日

I care about you.

私は地震が怖い。
昔っから怖い。
震災後、地震じゃないのに揺れてるような気がするというのは、
たくさんの人が経験していると思うが、私はそれが随分前からある。
買い物中に、食事中に、仕事中に、「地震?」と思うと
全ての行動と思考が止まる。
自分でもどうしてこんなに怖がるのかと思うが、これは理屈じゃない。
もちろん、震災後は前にも増して怖い。

そして、周りを見ても、どうも男性より女性の方が地震に対する
恐怖心が強いような気がする。




震災後、週末の予定は全てキャンセルになり、ずっと家にいた。
余震が来るたびに体中の毛穴が総毛立つような思いがして、
そのたびに夫の元に走り寄って力いっぱいくっついていた。

夫が昼寝をしていれば、走っていって布団の中に飛び込んだ。

トイレに入っていればドアをドンドン叩いて「地震!」と叫んだ。

お風呂に入っていた時は風呂の扉をバーーンと開けて、
自分も風呂桶に飛び込まんとする勢いだった。

そのたびに夫は明らかに「またか」という顔をして、
「だーいじょうぶだってー」という。
あんまり毎回私が走っていくので、夫のいる部屋に私が急いで
入っていくだけで「地震?」と聞かれるようになってしまった。


あの日の揺れで、我が家は幸い殆ど被害がなかった。
夫にも、あの揺れでこの程度だったのだから、もう一度
同じのかそれより少し大きいのが来てもこの家は大丈夫だ、
と何度も言われた。
そんなのは私も分かっている。
家が崩れる事が怖いんじゃない。
揺れることそのものが怖いのだ。
理屈が欲しいんじゃない。
手を握ったら握り返して欲しいのだ。


ある夫婦が地震の事で喧嘩したという。
余震が続くある日、妻は、今日だけはどうしても早く帰ってきて
欲しいと頼んだが、夫は飲んできちゃって帰りが終電だったという。

夫の言い分は、揺れで家が潰れたらそれまでだろうと。
自分がいたところで何もできはしないという。
それは分かるけど、そういう問題じゃないのだ。
この件に関しては、私は100%妻の味方だ。


余震も少しずつ収まり始めた頃、アメリカの友人からメールが来た。
とにかく心配だ、できる事なら今すぐアメリカ式のナイスでビッグな
ハグをしてあげたい、というメールだった。
その文章だけで、彼が半泣きの顔でそう言っている姿が目に浮かんだ。
男のくせに涙もろい人情家なのだ。
頑張れとか何とかは全然書いてない、短いメールだったが、
それまで交わしたどんなメールよりも私を元気づけてくれた。

それを読んで思ったが、夫にしがみつく度に私が欲しかったのは、
"It's alright"となぐさめる事ではない。
"I care about you"
という気持ちだったのだ。

件の夫も、遅くなる前に一本電話して「どうしてる?」と
一言聞いてあげれば良かったのだ。
地震に対する恐怖心はそう簡単に消えはしないが、
誰かが自分の事を気にかけていてくれると知ることは、
心を強くする。

心が強くあれば、少しくらいの恐怖ならなんとかなる。
自分が恐怖に怯えている時に、声をかけてくれる人がいないという事は、
余震よりもっと怖い。

男性、女性と簡単に分けてしまったが、怖い思いや寂しい思いを
している人はたくさんいる。
たいそうな事はできなくても、うまい言葉も思いつかなくても、
「どうしてる?」と聞いてあげるだけで救われる事もある。
少なくとも私はそうだ。
どうしてる?、という言葉じゃなくてもいい。
大丈夫?でも、元気?でもいい。
とにかく、"I care about you"なのだ。

周りの友達、親兄弟、そしてもちろん被災地の友人知人、
なんとなく顔が浮かんだ人に、どんどん"I care about you"
を伝えていこうと思う。


友人知人のみなさん、元気ですか?

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