先日仕事で仙台に行く用事があったので、これ幸いと石巻の友人の家に寄ってきました。GW中の事で時間が取れず、夕方について次の日の朝には仙台に向けて出発してしまうというタイトスケジュールでしたが、楽しい時間を過ごしてきました。
夕方に着くので「晩ご飯何食べたーい?」と行く前に聞かれておりました。
今、石巻は「震災バブル」なるものが到来しており、飲食店が軒並み大繁盛なのだそうです。予約しないと入れないお店がたくさんあり、いいお店ならなおさら、ひどい時には養老の滝すら予約しないと入れない状況なので、先に予約しておくとの事でした。
友人夫婦はあれこれお店をピックアップしてくれていたのですが、馬鹿の一つ覚え的に前回連れて行ってもらったお寿司屋さんをリクエストしてしまいました。
だって…おいしかったんだもん…。
二度目でも感動的においしかった!
それはいいとして、この「震災バブル」。
被災地に人とお金が集まるのでそれが流通しているというだけでなく、仮設住宅に住んでいる人が友人をもてなすのにやはり仮設では…と外食したり、それでなくても普段から外で食べる機会が自然と増えているそうです。
そして、自宅が一部損壊、半壊、全壊してしまった人たちには補助金が出たのですが、これはもう想像するのは簡単ですけど、到底足りないわけです。
家一軒流されてしまった人が、元の家と生活を取り戻すのに必要な金額っていくらでしょう?当然「補助」金なので、これを足しにして下さいね、という事なのでしょうが、それをすぐに新しい家のローンや家賃や仕事の資金に宛てる事ができる人ばかりではないでしょう。そのもっと手前の状態にいる人にとっては、「臨時収入」みたいになってしまうそうです。
そのお金で何をするのもその人の自由ですから、それで飲み食いする人だって当然いる訳です。そしてこの「震災バブル」状態になったと。
もっと計画的に使いなさいよー!と、私も少しは思いますけど、そうやってぱーっと使ってしまう事で気が晴れる、っていうのもあるのかなー、とか、そこは想像するしかできません。当事者の気持ちは分からないし、どうこう言う事もできません。
でも友人曰く、それでもお金が回るのは悪い事ではないと。どこも閑散としてるよりは賑わっているほうがいいと。
そして、私もその一人ではあるのですが、道が整備され、鉄道も復旧しはじめ、観光客も増えているそうです。
被害の大きかった辺りでは、やっぱり写真を撮ってる人が多いと。
そして、振り向くとそこには焼きそばの屋台なんかができ始めているそうです。
明らかに観光客目当てで、たいしてうまいもんじゃないだろうと友人は言っていましたが、私は聞いた瞬間「いいじゃん!」と思いました。
もう、商売になるものならなんだってやってしまえばいいし、そうやって稼いだお金で本来の仕事に戻れるならそれはそれで良い事だし、なんならそのまま焼きそば屋を建てちゃったっていいじゃないかとまで思います。そのぐらい逞しくてちょうどいいと思うのです。
そして、震災の被害について語る語り部さんもぽつぽつ出始めているそうです。
これも、もちろん震災の実態について知ってほしい、忘れないでほしい、という思いから始まった事だろうと思うのですが、ちゃんとお金とってプロのガイドさんになればいいと思います。
そして震災について知りたくて来た人たちに、実態を知ってもらった上で、そのまま石巻の魅力を伝え、「被災地」ではなくてその街そのものを好きになってもらえるようスライドしてしまえばいいと思うのです。それぐらい、石巻には魅力があります。
言い方はとても悪いですが、今石巻の知名度は最高です。他の被災地にも言える事です。この知名度を利用してしまえばいいと思うのです。
ただ、これは外の人間の思うことであり、地元の人の思いはまたちょっと違うと思います。
理性ではそうやって稼ぐ事は悪い事じゃないと思っていたとしても、自分達の街の傷跡部分をいつも目にするだけでも辛いだろうに、それを写真に撮る人達を黙認し続けるのも限界があると思います。
なので、これはまず観光で訪れる人に言いたいのですが、傷跡の写真を撮るならば、必ずそこで命を落とした人がいるのだという事を忘れないで欲しいです。
写真を撮るにしても、間違ってもカメラの前でポーズなんかとってはいけないし、撮る前、撮った後、どちらでもいいので手を合わせてほしいです。もう、ポーズでもいいのでそうして欲しい。それだけで地元の人の心を逆なでする事が減るのです。
「被災地」「被災者」から脱したいと思っていても、興味本位で訪れる人がいる限り、レッテルを貼り直され続けてしまう。わざわざ外からやってきてそんな事する必要はないのです。たとえお金をたくさん落としていったとしてもです。
だいぶ前の事ですが、ニューヨークのグラウンドゼロの前を通った時、そこでもポーズ決めて笑顔で写真を撮ってる人がたくさんいて、通りすがりなのに辟易したのを思い出します。
その辺りの気持ちは、広島出身の人だともっと分かるのかな?
今度聞いてみたいと思います。
東京ではすっかり被災地の報道も減ってしまいましたが、現地ではまだまだまだまだ現在進行形です。
たくさんの人と話した訳ではないので、全く違う考えの人もいるかも知れませんが、今は外から人が来る事を歓迎してもらっている感じがします。友人もどんどん遊びに来て、と言ってくれます。
だからと言って、諸手をあげて大歓迎、な訳でもないと思うのです。
今も大変な状況にある事は変わりません。
他に言い方が思い浮かばないのですが、節度を持って訪れるべきです。
その上で、おいしいものに歓喜したり、きれいな景色にうっとりしたり、思い思いに過ごせばいいと思います。地元の人の笑顔の裏に大変な苦労と努力がある事を忘れなければ、暖かく受け入れてもらえるんじゃないかなと思います。
でも、そんな事私がわざわざ言わなくてもね、今でもぐっと胸をつかまれるような思いをする光景はたくさんあります。一瞬で笑顔が凍るような思いをする景色もあります。
でもそこでまた暗い顔をするのも失礼ってもんなので、明るく楽しく元気良く、が観光客の態度としては良いんじゃないかと思います。
以上、石巻二度目の訪問の雑感でした。
お寿司おいしかった♡
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