2011年3月28日月曜日

「のほほん日記」

なんとも間抜けなタイトルだけれど、他に思いつかなかった。

1999年の9月、まだ世の中に「ブログ」という単語が存在しない頃、
ホームページ作成ソフトを使って日記を公開しはじめた。
その時のタイトルが「踊り屋えりなののほほん日記。」
そのネーミングセンスについて今さら何も言うまい。





ようやく舞台に立てるようになった頃で、新しい作品のリハ、
海外ツアー、地方公演、大きな劇場での公演、初めての事がたくさんあった。
何年間か、けっこう一所懸命書いていたけど、ダンスがただの好きや趣味の域を
超えたあたりから、「のほほん」何て言っていられなくなった。

色々アウトプットしたい事はあれど、読んだ人が笑って読めるような
ものは書けなくなり、看板に偽りあり、となるよりは閉鎖を選んだ。

当時のホームページのデザインは、トップページに白い箱が五つ、
マウスオーバーするとぱかっとふたが開いてそれぞれのリンクページに
飛ぶものだった。
たったそれだけだけど、すっごい大変だったな。作るの。

閉鎖したホームページは、トップページだけ今も残してある。
そこに書いた文章はこう。

「いらっしゃいませ。
せっかく来ていただいたのに申し訳ないですが、
あけっぱなしだった箱のふた、いいかげん閉じることにしました。
そのうち箱がいっぱいになったら、ひっそりとふたを開けてみるかもしれません。
それまでは一人で箱の中身を見てにんまりすることにします。
では、また、いつか。」

それ以来、どうしてもアウトプットしたい出来事はこっそりと
日記帳に書いてきた。あとはtwitter。それで十分だった。


でも、今月、たぶんきっとずっと忘れない、3月11日。
あの日を境に考える事が増えすぎて、それを残しておこうと思っても、
ペンを持って紙に書くのではスピードが追いつかない程だった。

地震の前日、3月10日に新しいMacのノートを注文した。
届いたのは3月19日。
新しいパソコン、やっぱり嬉しいから何かと電源を入れてしまうけど、
使い道はニュースの検索、twitter、そして大量の書き物だった。
頭で考えるスピードには追いつけないけど、若くて暇な頃に日記を
大量にタイプしていたおかげで、ペンで書くより断然早かった。
思った事、考えた事、とにかく忘れないようにひたすら打った。
これでもう、箱はいっぱいだ。


そして、どうでもいいことから壮大な事まで、ものすごくたくさん
考え事をした中で、明確に思ったことがある。
「人はみな違う」という事。
あったりまえー!すぎて恥ずかしいが、本当に、本当にそう思った。
少しの痛みとともにそれを実感してみると、自分が発信したことが
人にどう受け取られたって構わないんだ。だって元々違うんだもの。
という、安堵感のようなものが湧いた。
そして、アーティストと呼ばれることもある身としては、
今何を考え、どうしてそういう行動を取るのか、表明していく
事が大事だと思った。

ここで改めて、タイトル。
「のほほん」について。
初めてそう名付けた時は、ほんとにのほほんとしていた。
あれから12年、そうやすやすとのほほんできる状況ではなくなりつつある。
それでも、私はやっぱりのほほんとしていたいのだ。
こんなに面倒くさい前置きを用意しなくてはならなくっても、
お腹にとんでもないもの抱えていても、だ。
のほほんと暮らすために、それらを日の目にさらす必要がある。
そうして出来上がるのほほんはきっと、12年前とは違うんだぜ。



だけど、「踊り屋えりな」はさすがに外すんだぜ。

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